政治資金規正法関連

供託金没収点の規定 没収された供託金の使い道と没収点の計算方法

選挙への立候補(出馬する)には、『供託金(きょうたくきん)』を拠出する準備が必要です。

供託金は、出馬の際に法務局に預けることが決められた金額です。預け金故に、基本的には、選挙活動後に戻って来る金額です。

しかし、この供託金。投開票の結果、得票数が一定数以上であれば、戻って来るものの、一定数未満の得票数であった場合は、【没収】されてしまいます。

供託金が没収されないで済むギリギリの獲得票数のことを『供託金没収点』といいます。

仮に選挙に落選しても、得票数が供託金没収点をクリアしていれば没収されることはありません。

本来、選挙に立候補する者は、当選を目指すものですが、売名や宣伝目的による立候補も存在し、放置しておくと立候補者の乱立という事態になってしまいます。これを防ぎ、選挙の質の向上を図るために設けられたのが、以上の供託金制度です。

さて、預け金である供託金は、没収された場合、どのような使い道に供されるのでしょうか?実は、種々の疑問視される部分もあり、その点について後述しています。

なお、選挙に際しては、選挙運動の機会均等を図ることを目的に、選挙運動用のポスター作成・ビラ作成・はがきの交付等の費用が『公費負担』となっています。

しかし、せっかく負担してもらった選挙運動の公費負担分も、供託金が没収された場合、すべて自前で負担しなけれななりません。

以上、この記事では、供託金没収点の規定に関するケース毎の詳細と問題点、及び、肝心の供託金没収点の計算方法について述べています。

目次

供託金の没収された後の使い道はどうなっているか?公費負担に補填・・

国や地方自治体が選挙を行う場合、ポスターの立て看板設置や選挙公報の配布・投票用紙の発送等々については、限度額の範囲内で『公費』で賄うことになっています。

あくまでも限度額内ですが、立候補者が負担する選挙活動費用を税金から補助・補填する形になっています。これを公営費用(公費負担)といいます。

この公費負担については、『膨大な費用がかかる』とされていて、【没収された供託金】は、その一部に使われていると言われます。

つまり、税金収入と同じような使い道で使用されているということです。

しかし、没収した供託金の使い道の詳細についての公表は見当たりません。法的にも、詳細公表をしないことは違法でないとされているからです。また、一般民衆には縁の無い【資金】であるので、焦点があたることも無いようです。

そんな中、真偽の程は定かではありませんが、この不透明さ故に、供託金が公務員や政治家の接待や遊興費に使用されている?・・等々、何年かに一度、風評が流れる場合があるようです。

諸外国に比べても金額の高さが目立つ日本の供託金については、高額の供託金制度が「立候補の自由」を保障する憲法15条1項や、国会議員資格について、財産・収入で差別することを禁ずる憲法44条の規定に反しており、「違憲無効である」とする、いくつかの訴訟が起こされています。

これに対して、最高裁判所は、供託金制度の目的(前述)に鑑みて、合憲判決(憲法違反ではない)を出していますが、その理由については、全く示していません。

没収された供託金に関する、良からぬ風評の存在も、こういった背景が影響しているものと思われます。

没収された供託金で補填される公営費用

選挙期間中にかかる以下の経費(公営費用)については、『没収された供託金』からの補填があると言われます。

公営費用は、各限度額の範囲内で、国や地方自治体が負担します。

  • 選挙運動用自動車の使用の公営費用(公費負担)
  • 選挙運動用通常葉書の作成の公営費用(公費負担)
  • 選挙運動用ビラの作成の公営費用(公費負担)
  • 選挙事務所の立札及び看板の類の作成の公営費用(公費負担)
  • 選挙運動用自動車等の立札及び看板の類の作成の公営費用(公費負担)
  • 選挙運動用ポスターの作成の公営費用(公費負担)
  • 個人演説会場の立札及び看板の類の作成の公営費用(公費負担)

過去の選挙における供託金没収者数等の状況

2015年(平成27年)の統一地方選挙における供託金没収者人数

◆都道府県知事選挙
定数:10人
立候補者数:25人
倍率:2.5倍
没収者人数:5人
没収者比率:20.0%

◆県会議員選挙
定数:2,284人
立候補者数:3,273人
倍率:1.4倍
没収者人数:42人
没収者比率:1.3%

◆市区長選挙
定数:105人
立候補者数:228人
倍率:2.2倍
没収者人数:20人
没収者比率:8.8%

◆市区議員選挙
定数:8,704人
立候補者数:10,994人
倍率:1.3倍
没収者人数:176人
没収者比率:1.6%

◆町村長選挙
定数:122人
立候補者数:199人
倍率:1.6倍
没収者人数:1人
没収者比率:0.5%

2015年(平成27年)の衆議院選挙における供託金没収者人数

◆衆院小選挙区
定数:295人
立候補者数:960人
倍率:3.3倍
没収者人数:154人
没収者比率:16.0%

◆衆院比例代表選挙
定数:180人
政党届出数:609人
倍率:3.4倍
全部没収:39人
全部没収比率:6.4%

2017年(平成29年)の衆議院議員選挙における供託金没収者人数

◆衆院小選挙区
定数:295人
立候補者数:936人
倍率:3.2倍
没収者人数:174人
没収者比率:18.6%

2016年(平成28年)の参議院議員選挙における供託金没収者人数

◆参院選挙区
定数:73人
立候補者数:225人
倍率:3.1倍
没収者人数:91人
没収者比率:40.4%

◆参院比例代表選挙
定数:48人
政党届出数:164人
倍率:3.4倍
全部没収:28人
全部没収比率:17.1%

国会・自治体の供託金の額及び供託金没収点の計算方法

日本国内の国会議員(衆議院・参議院)選挙及び地方自治体(都道府県・市区町村)における、各供託金の額と供託金没収点の計算方法、及び各選挙運動期間について、以下にまとめています。

衆議院議員通常選挙

  • 供託金の額:名簿登載者1人につき600万円
    ※名簿登載者が重複立候補者である場合300万円
  • 計算式:没収額=供託額-(300万円×重複立候補者のうち小選挙区選挙の当選者数+600万円×比例代表選挙の当選者数×2)
  • 運動期間:12日間

衆議院議員総選挙小選挙区選出議員の供託物没収点

  • 供託金の額:300万円
  • 計算式:有効投票総数 × 1/10
  • 運動期間:12日間

参議院選挙区選出議員

  • 供託金の額:300万円
  • 計算式:有効投票総数÷その選挙区の議員定数 × 1/8
  • 運動期間:17日間

参議院比例代表選出議員

  • 供託金の額:名簿登載者1人につき600万円
  • 計算式:没収額={名簿登載者数-(当選人×2)}×600 万円
  • 運動期間:--

都道府県知事選挙

  • 供託金の額:300万円
  • 計算式:有効投票総数 × 1/10
  • 運動期間:17日間

都道府県議会議員選挙

  • 供託金の額:60万円
  • 計算式:有効投票総数÷その選挙区の議員定数 × 1/10
  • 運動期間:9日間

市長選挙(政令指定都市)

  • 供託金の額:240万円
  • 計算式:有効投票総数 × 1/10
  • 運動期間:14日間

市議会議員選挙(政令指定都市)

  • 供託金の額:50万円
  • 計算式:有効投票総数÷その選挙区の議員定数 × 1/10
  • 運動期間:9日間

東京都特別区の区長選挙

  • 供託金の額:100万円
  • 計算式:有効投票総数 × 1/10
  • 運動期間:7日間

東京都特別区の区議会議員選挙

  • 供託金の額:30万円
  • 計算式:有効投票総数÷議員定数 × 1/10
  • 運動期間:7日間

市長選挙

  • 供託金の額:100万円
  • 計算式:有効投票総数 × 1/10
  • 運動期間:7日間

市議会議員選挙

  • 供託金の額:30万円
  • 計算式:有効投票総数÷議員定数 × 1/10
  • 運動期間:7日間

町長選挙

  • 供託金の額:50万円
  • 計算式:有効投票総数 × 1/10
  • 運動期間:5日間

町議会議員選挙

  • 供託金の額:供託金なし
  • 運動期間:5日間

村長選挙

  • 供託金の額:50万円
  • 計算式:有効投票総数 × 1/10
  • 運動期間:5日間

村長議会議員選挙

  • 供託金の額:供託金なし
  • 運動期間:5日間

都道府県・市区町村の供託金の額と運動期間

以下は、全国47都道府県での供託金の額や選挙運動期間の情報リンクです。

各都道府県の各情報は、市区町村別の明細となっています。

北海道ブロック

北海道

東北ブロック

青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県

北関東ブロック

茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県

南関東ブロック

千葉県 神奈川県 山梨県

東京ブロック

東京都

北陸信越ブロック

新潟県 富山県 石川県 福井県 長野県

東海ブロック

岐阜県 静岡県 愛知県 三重県

近畿ブロック

滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県

中国ブロック

鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県

四国ブロック

徳島県 香川県 愛媛県 高知県

九州ブロック

福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県