ながえ孝子ブログ Blog
一瓢息災
「お上がりになって、お茶でもいかがですか」
そうお声を掛けていただいて、私の心はほろっとほどけました。
先週の温かさから一転、三寒四温の言葉どおりの冷たい風に身をすくめていたもので。
『もぎたてテレビ』の取材でも、そんな言葉をかけて頂くことは少なからずありました。
時には、2階で窓を開けたお母さんと下の道を歩いていた私と、目と目が合って
「お茶でも飲んでおいきんかな」
と声を掛けて頂いたことも。
道行く旅人に、寒い日には温かいものをすすめる。
暑い日には冷たい物を差し出す。
そんなお接待の心は、お遍路さんの歩く88ヶ所巡りの道を故郷に持つ私たちの宝だと思います。
「お茶でもいかがですか」
その言葉は、「相身互い(あいみたがい)」の気持ちの表れです。
その言葉を聴くたびに、愛媛に生まれてよかったと感じたものです。
そんな事を思い出しつつ、玄関におじゃますると、お母さんのあったかい笑顔と共に、目に留まったのが、壁にかかった一個のひょうたん。
「これは、お守りですか」
「これはね、『一瓢息災』を表わしとんよ」
「いちびょうそくさい…ですか」
「そうそう、一病息災の病(びょう)とひょうたんの瓢(ひょう)を、かけとんよ。
ほんとはね、6個のひょうたんを掛けて、無(六)病息災にしよかと思ったんやけど。
一病(瓢)息災の方が、自分には合うなぁと思て」
「なるほど…一つ病を持ったほうが元気に生きていける…何か足りんもんがあったほうが、あることの有難さが身に沁みもしますよね」
「ほうなんよ。これを見て、それを思い出すようにしよんよ」
玄関先の一個の瓢箪。
人生の先輩の知恵に深く敬意を覚えました。
